A.I.でVJシーンはどう変わるか

こんにちは、プログラマの三浦です。

皆さん、VJはご存知ですか?

DJはもちろん知っていますよね、ディスクジョッキーです。VJは映像を素材として、ディスクジョッキーと同じようなパフォーマンスをする者を指します。ビデオジョッキー、もしくはビジュアルジョッキーと呼ばれます。

ライブ会場やクラブのVJブース。こんな裏側、普段なかなか見ることができません。

ライブ会場やクラブのVJブース。こんな裏側、普段なかなか見ることができません。

以前はビデオデッキとビデオミキサーを使って、複数の映像をミックスしたり、細切れにしてコラージュしたりしていました。ソフトウェアの出現により、より少ない荷物で気軽に映像を送出することができるようになったのです。

以前自分が作っていた「風立」「風立AD」や、その後少し関わった「motion dive」などもその頃生まれました。

現在の主流VJソフトウェアは、resolumeVDMX5modul8GrandVJだと思います。これらはプロフェッショナルなステージで使用されています。

弊社でも初めての方向け・またプロのセカンドツールとして、「Kraken」や「GRoK」を販売しています。VJに興味がある方は、ぜひお試しください。

1ヶ月利用$10からご用意しています。

’GRoK'のUI(操作)画面。国内外で活躍するVJ SphinkSとのコラボソフト。VJ現場での機材の配置やオペレーションを考え抜いた上のUIで、操作性抜群と人気です。

’GRoK’のUI(操作)画面。国内外で活躍するVJ SphinkSとのコラボソフト。VJ現場での機材の配置やオペレーションを考え抜いた上のUIで、操作性抜群と人気です。

さて、長年VJソフトの開発に携わってきたので、これまでの遷移を元に、これからの進化に対してもある程度予測しています。PCの性能が大幅に向上したので、リアルでカッコイイ映像を作るのはだいぶ敷居が下がりました。映像にその場のインスピレーションで施すエフェクトも、PCの性能向上により、以前よりも目を見張るような効果を出せるようになりました。

では、人間は何をするのでしょう。

それは、素材の選択です。

タブでのグルーピング、格子状に囲まれた枠の中に用意された素材。これらから使いたい素材を選択します。

人によっては、音楽の流れを読んでVJなりのストーリを作ったり、オーディエンスの求めるものを選択したり、DJが求めるものを選択したり、それは人それぞれ様々です。しかし、その「選択」を支援する機能の進化は、この数年全く見受けられませんでした。

私は画面を見ずに素材を選択するためのユーザーインタフェースは、どのようなものであるべきかを研究したことがあります。

実は、自分が目指すVJソフトウェアは「楽器」のように扱えるものと考えています。出したい素材を目で確認し、それを何らかのアクションで選択、それをスクリーンに表示させるアクション。これではアクションが多すぎて、遅すぎます。

楽器の場合、目をつぶっても演奏できますし、レイテンシーはありません。これを突き詰めると、脳内の映像をスクリーンに転送するのが究極の最終システムですが、そこまでいかなくとも今の状況を鑑みると色々やれることが多いと思います。

 

とある大手VJソフトウェアメーカーさんが、素材を機械学習で分類し、各特徴抽出を行って、ユーザーに提示する際により抽象的な条件で絞り込めるような研究開発を行っています。

「もっと明るい感じの」「もっと激しい感じの」という感じですね。

これまでも、ハッシュタグのように素材にタグ付けし、それを検索することで似たようなことを実現するソフトウェアもありました。

今後は、機械学習によって、素材の管理の仕方・オートパイロット・次の素材の提案などが予想されます。これが役に立つかどうかは、ソフトウェアのブラッシュアップ次第ですが、VJとしてはそもそも「手」が足りなかったので、自分がやりたい部分に専念できるという点で待ち遠しいです。

VJブースからはオーディエンスがこんな感じに見えています。

VJブースからはオーディエンスがこんな感じに見えています。

A.I.は得体の知れない怖いもの、A.I.は人間の仕事を奪うもの、とネガティブなイメージが先行していますが、私は現在のところ、そうは考えていません。

もちろん、自分が死んだ後の真のシンギュラリティが到来した場合は別ですが、その過渡期の間は人間を置き換えられるほど優秀で汎用的なA.I.の出現は厳しいでしょう。

何かに特化したものは別ですが(画像処理や翻訳処理などはわかりやすい分野ですので、目を見張るような機能が今後も提示されることでしょう)、完全に置き換えが効くようなものとは思えません。

 

この過渡期が一番人間の能力拡張という面で、楽しみにしているフェーズです。

今まで、PCは仕事や作業を楽にしてくれていましたが、真の意味での協調作業やコラボレーションができていたわけではありません。

これがもっと距離が縮まることで何が起こるか、興奮しませんか?

 

私は得意分野の映像制作、音楽制作において、クリエティブ作業が一緒に行えるA.I.の開発を一つの研究テーマとして持っています。

それを、VJソフトウェアに適用し、行く末にはもっと汎用的なサービスにまで展開していくのが、弊社TECHLIFEのゴールと考えています。

打ち合わせで入ったカフェバーの壁画。色々ギリギリ(というかアウト)感漂う...

打ち合わせで入ったカフェバーの壁画。色々ギリギリ(というかアウト)感漂う…

Best Regards,
  Nozomu Miura
miura

秋田県生まれ。ベルギー、東京を経て現在シンガポール在住。 様々な業務アプリケーションの開発に関わり、主に低レイヤーの開発を得意とする。 ベルギーへ渡り、照明最大手のR&Dのリードエンジニアとして、メディアサーバや照明制御の開発に6年間従事。 2006年のユーロビジョンソングコンテストやアーティストのステージを支えるエンジニアとしてベルギーを拠点に欧州で活躍。 日本ではライブストリーミングサイトdommuneや、坂本龍一の映像配信などをサポート。 その一方で、vjとしてクラブシーンとも関わり、積極的にvjソフトウェアを開発。 小さくてもニーズのあるツールを提供するのが生き甲斐。次のプロダクト作成のため、メンバーを探している半ばの人生。 エンジニアとしてのメンタルを保つために、アジア大陸最南端でギラギラ葛藤中。 動物とあんことレッドブルが好き。最近お酒に弱くなりました。

0 comments